家の中で小さな輝きを放つ坪庭。天空からそそぐほのかな明かりに浮かびあがる小庭には、灯籠があり、手水鉢があり、袖垣が配され、あるいは一木一石がつつましく意匠されている。その小さな空間に季節のはなやぎが彩られ、家人の暮らしの楽しみが営まれる。壺庭、坪庭と書かれるように、周囲をかこまれた小さな庭であっても、さまざまな歴史が刻みこまれている。王朝の名残、京都御所にある美しい藤壺や萩壺を初め、歴代の寺社の庭園や禅寺の枯山水、茶の湯の露地などの意匠が、象徴され凝縮されて巧に取り入れてきた。本書では、町家、旅館、ホテル、お茶屋、寺社などに取材し、生き生きと呼吸している坪庭の数々を、楽しく紹介する。
著者名: | 水野克比古 |
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出版社名: | 光村推古書院 |
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ISBNコード: | 9784838101634 |
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発売日: | 1996年04月 |
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